そのような話は、確かによく聞きます。例えば、都内にある大型二種の練習ができる教習所で、ある練習生が受験する試験場を指導員に質問された際、「二俣川です」と回答したところ、「ご愁傷様です」「お気の毒様です」という主旨の反応が返って来た、という話も聞いたことがあります。

ただ、運転免許の試験は、法令に基づき警察庁等が策定した全国統一の基準に基づいて行われるものであり、本来ならばその難易度に差異がつくということはあってはならないことです。実際のところ、学科試験に関しては特段差異があるという話は聞きません。では、何故、二俣川試験場における技能試験は全国屈指の難易度とまで言われているのでしょうか。少し、著者なりに考えてみました。


1. 試験官が厳しい？

確かに、個性豊かな試験官が多いのは事実です。具体的な名前を挙げるのは差し控えますが、メガネでムッツリしていて試験中の指摘のツッコミがいちいち厳しくそのくせ落ちた人間には試験後次回のためにしっかりアドバイスしてくれる試験官や、館内放送を使う必要が無いほどの割れんばかりの声で受験生を呼び出す試験官や、東北訛まじりで「ダ〜メだよぉ」などと言うのが口癖と思われる試験官や、その他、色々な方がいらっしゃいます。しかし、厳しいか？と問われると、特筆すべき厳しさとは言えません。

他県の試験場・免許センターを見物に行った際、待合室で試験官と受験者が談笑している光景に出くわしたことがあります。二俣川ではあり得ない光景です。そうしたケースに比べれば、確かに厳しいと言えるかも知れませんが、それが故に技能試験の難易度がどうにかなる程ではないでしょう。


2. 試験車両が古い？

これは、あるかも知れません。警察庁が策定した基準では、試験車両に関する事項も当然規定されていますが、車格などに関する事項が殆どであり、年式や操作性に関しては規定されていません。

二俣川試験場の車両は、いずれもポンコツ揃いです。普通車は「いつのだよ？」と問いたくなるようなクルーが多く、大型一種・大型二種も言わずもがなです。整備自体はきちんとされていますが、長年、受験生による無茶な運転操作の洗礼を受け続けたせいか、ギア周りが怪しいものもあります。一部、普通車や大型二種では新車が入りつつありますが、まだまだ古い車両は現役のようです。


3. 試験場のコースが傾いている？

これは、確実にあります。見た目には分かり難いのですが、二俣川試験場のコースは建物側・二輪コース側が高く、二俣川駅方面側が低くなっており、全体的に傾いています。その証拠に、牽引の方向変換コースなどでは、停車した際、軽くサイドブレーキを引いておかないと、後退などを始めようとフットブレーキを解除した瞬間に意図しない前進（左バックの場合）・逆行（右バックの場合）が発生します。

他にも、例えば踏切の前後は以下のように微妙にこんもりとしています。



教習所や他県のコースでは特にサイドブレーキを必要としなかった課題でも、念の為にサイドブレーキを引かなければならない。そんな課題が多いため、難易度が高いと言われることはあるでしょう。


4. 起伏に富んだ路上コース？

これもあります。Googleマップのサテライト画像で見てみましょう。

二俣川試験場は、こんな感じです。

東京都の府中試験場は、こんな感じです。
東京都の鮫洲試験場は、こんな感じです。
東京都の江東試験場は、こんな感じです。
千葉県の幕張免許センターは、こんな感じです。
埼玉県の鴻巣免許センターは、こんな感じです。

ハイ、一目瞭然で、二俣川の周囲が起伏に富んだ地形であることが理解できますね。事実、他の試験場は完全に平地と言い切れる場所にあります。二俣川の場合、サテライト画像では一見すると平地のように見える住宅地まで、丘陵地にあるため起伏に富んでいます。

こればかりは、神奈川県に住んでいる以上、避けて通れないところでしょう。一般的に港町として知られている横浜を含め、県内の多くは丘陵地が比較的多い地形となっています。県央部にやや平地が広がっているのは事実ですが、試験場が二俣川にしか存在しない以上、どうにもなりません。

教習所は、河川敷など平地にある場合が多いようです。神奈川県内にお住まいで、どうしても二俣川試験場は難しい、という方は、大人しく教習所で取られることをお勧め致します。。。