1. はじめに
まず初めに、「フルビット免許」の定義を明確にしておきましょう。「フルビット免許」は、色々な意味合いで使われる言葉ですが、本稿では、すべての免許の種類が表示されている状態(すべての免種にビットが立っている状態)を、「フルビット免許」と定義します。具体的には、以下の画像の状態です。
運転免許には、それぞれの免許の種類の間に、上位免許・下位免許という関係があります。この関係は包含関係と理解しても差し支えないものであり、例えば、「普通」の免許(普通一種)を保有している人は、普通一種から見て下位免許に相当する「原付」「小特」について、当該下位免許を保有していない場合でも、道路交通法上、当該下位免許が対象とする車両を運転することができます。
重要なことは、既に上位に位置付けられる免許を取得している人は、未取得の下位免許を取得することができないということです。例えば、「普通」を保有している人が「原付」の試験を受けようとしても、「受験の必要無し」ということで、受験自体が拒否されてしまいます。逆に、「原付」を保有している人が後から「普通」を保有することとなった場合、免許の種類欄の表記上は、「原付」「普通」の両方が載ります。両者の免許の効力に差異はありませんが、ただ、表記上の差異が発生することとなる訳です。
このため、「フルビット免許」を目指すためには、下位免許から順序良く取得する必要があります。そのためには免許の種類の間の上下関係を正しく理解し、計画的に取り組まなければなりません。
2. 免許の種類の上下関係
「フルビット免許」を目指す上で、最も重要となる免許の種類の上下関係は、以下の通りです。
| 上位免許 |
下位免許 |
| 大型二種 |
普通二種・大型一種・普通一種・小型特殊・原付 |
| 大型一種 |
普通一種・小型特殊・原付 |
| 普通二種 |
普通一種・小型特殊・原付 |
| 普通一種 |
小型特殊・原付 |
| 大特二種 |
大特一種・小型特殊・原付 |
| 大特一種 |
小型特殊・原付 |
| 牽引二種 |
牽引一種 |
| 牽引一種 |
(無し) |
| 大型二輪 |
普通二輪・小型特殊・原付 |
| 普通二輪 |
小型特殊・原付 |
| 小型特殊 |
(無し) |
| 原付 |
(無し) |
これをもとに、具体的な「戦略」を立案することになります。
3. フルビット免許取得戦略
【鉄則其之壱】 何よりも先に「原付」「小特」を取得するべし。
免許の上下関係の表だけでも一目瞭然ですが、牽引以外のすべての免種が、下位免許として「原付」「小特」を包含しています。即ち、牽引以外の種類の免許を取得してしまった時点で、「原付」「小特」は原則として永遠に表記させることができなくなってしまうのです。
大多数の方は、普通車または普通二輪、あるいは通学用で原付の免許を最初に取得するはずです。将来フルビットを目指したいという野心をお持ちの方は、普通車や普通二輪の免許を取得してしまう前に、「原付」「小特」の免許を必ず取得しておいてください。なお、既に普通車や普通二輪の教習を始めてしまっている方や、既にそれらの教習所を卒業してしまった方も、試験場で学科試験に合格する前であれば、まだ間に合います。特に「小特」は忘れられがちですので、ご注意ください。( ̄ー ̄)ニヤリッ
なお、「原付」を取得した上でさらに「小特」を取得するメリットですが、「原付」の初心運転者期間の方であれば、免許証の帯の色が、「原付」時代の緑色から、一般の人々と同じ青色に変わります。身分証明書として使う場合などに緑色の帯なのが気に入らないという方は、是非「小特」を取得しましょう。トータルの取得費用は講習が無い分「原付」より安く、試験内容は「原付」とほぼ同等です。また、「原付」で初心運転者講習を受けなければならなくなった方も、「小特」を取得すれば講習が免除されます。「小特」の取得費用は初心運転者講習の手数料よりも安いので、是非挑戦してみてください。
【鉄則其之弐】 次に「普通」「普自二」を取得するべし。
「原付」「小特」さえ取得していれば、後は自然と下位免許から順番に取得していく流れとなります。運転免許には基礎免許やその免許期間という概念があり、それらが上位免許の受験資格となっており、例えばいきなり大型二種などを受験することはできないためです。
まずは、普通一種・普通二輪から取得してください。そして、それぞれで実際の運転経験を積んでください。上位免許の教習・検定・試験は、やはり実際の運転経験が無いと苦戦します。単に免許制度上の基礎免許だからという理由ではなく、目的は、実際に必要になる技能・経験を積むことです。
【鉄則其之参】 最低限の上下関係を踏まえつつ戦略を成就させるべし。
先に述べた通り、「原付」「小特」さえクリアしていれば、自然と下位免許から順番に取得することとなるはずです。例えば、大型一種は基礎免許である普通一種を持っていなければ受験できません。大特一種でも基礎免許になりますが、一般の方で大特一種を先に取る人は稀でしょう。また、二輪についても、神奈川県内の場合、普通二輪を持っていなければ大型二輪の指定自動車教習所には入校できないことが殆どですし、試験場は普通二輪未経験で大型二輪を取得できるほど甘くはありません。
唯一、気をつける必要があるのは、大型二種の取得時期程度でしょうか。昨今では大型二種の指定自動車教習所も増えましたが、普通二種や大型一種が無くても入校・卒業できます。「普二」「大型」は「大二」の下位免許であるため、フルビットを目指す場合は先に取得しておかなければなりません。
「原付」「小特」と異なり、このレベルになると、免許制度に関する知識もそれなりに持ち合わせているようになるため、フルビットを目指す方が判断を誤る可能性は低いはずですが、念の為。
4. 取得不能な下位免許を再び取得(表記)させる方法
既に上位免許を取得してしまっている場合、下位免許を取得することは原則としてできません。受験の必要無し、ということで、拒否されてしまいます。では、その原則を覆す方法は無いのか?というお話になる訳ですが、全く方法が無いかと言えば、決してそういう訳ではありません。
但し、法解釈如何によっては、クロか、あるいは限りなくクロに近いグレーの方法となります。抵触する懸念がある法律は、道路交通法など免許・交通制度に直接関連する法律ではありません。このため当サイトではこの方法の解説は差し控えさせて戴きます。ご了承ください。
ヒントだけ、断片的に掲載しておきます。下位免許の受験が拒否されるのは、上位免許があるためです。現に有効な上位免許があるが故に、拒否されるのです。何らかの理由で、上位免許が現に有効ではない状態となっていれば、下位免許も取得できるかも知れません。下位免許を取得した後で、上位免許を復活させ、それぞれどうにかすることができるのであれば、何とかなるかも知れません。取得年月日あたりを見れば正規の手順によるものではないことが一目瞭然になるので、全くお勧めできませんが。
なお、本件に関するお問合せのメールをかなりの頻度で戴いておりますが、際限が無くなるため、個別のお問合せへの対応は行いません。わからないことは他人に聞かず、自己解決する努力をしましょう。
以上です。