技能試験攻略法 二俣川フルビット物語 〜運転免許完全取得への道〜


 けん引一種・二種技能試験攻略法

けん引方向変換です。牽引は、他の免許と組み合わせて使う特殊な免許です。
多くは大型免許と組み合わせて用いられます。

中には、牽引免許は運転免許の一つであると同時に、
トレーラーオペレータという独立した資格だ!という人もいます。
著者は結局運輸系の仕事を一度もしたことがないのですが、
確かに牽引免許をお持ちの方はある種のプロ意識を持ち、
またそれにふさわしい雰囲気も備えているような気がします。

本稿では、そんな牽引免許の技能試験について、
主に二俣川試験場における攻略法を解説します。


けん引技能試験概論


基本的には大型一種に準じるものとなります。課題としては踏切やS字や指示速度こそありますが、縦列やクランクはなく(そもそもできないかと……)、坂道発進もありません。

唯一最大の課題は、やはり方向変換となります。あらゆる教習所において、牽引の課程では全教習時間の過半数を方向変換に費やすことからも、その重要性は明らかです。どうしてもうまくいかず、挫折してしまう人もいますが、逆に言えば、方向変換さえコツをつかんでうまくいくようになれば、合格はグンと近づきます。

方向変換以外にも若干の注意点はありますが、本稿では読者各位のニーズに鑑み、主に二俣川試験場における方向変換について、「劇薬」を含め徹底的に解説させて戴きます。

なお、実際の取得記を以下に掲載しております。こちらもご参考までにご参照ください。

運転免許取得記 - 牽引自動車第一種免許編
運転免許取得記 - 牽引自動車第二種免許編


方向変換


牽引の方向変換は、単にポケットで方向を変換して出てくれば良いというだけではなく、ポケットの中でヘッドと台車を真っ直ぐにするという作業が加わります。切り返しは3回まで行うことができますが、都度減点されます。ポケット及び導入路は総じて狭く、また台車が空荷のハーフサイズでくねくねと動いてしまうことから、課題を難なく乗り切れるようにするためには相当時間の練習が必要となります。

本稿では、二俣川試験場の牽引方向変換に対象を絞り、敢えて「目印」を教えます。目印や目標を使うのはあまりやりたくないところですが、そもそも課題自体が少々現実と乖離した「苦行」となっていること、また二俣川のそれは微妙な傾斜や老朽化した車体と相俟って難易度が著しく高くなっていること等を勘案し、牽引の方向変換に限っては已む無しと判断しました。予めご了承の上、お読みください。

まず、方向変換場に入ります。1号コースは左バックですので山側(建物側)から左折で、2号コースは右バックですので海側(駅側)から右折で、それぞれ進入することとなります。進入の際は台車内輪を縁石に引っ掛けないように注意してください。進入後はポケットに寄せ、丁度台車の端が縁石から水切りの1.5倍程度(水切りの境界線から水切りの半分相当離れた程度)となるよう、「適切な位置」で停止します。

この「適切な位置」というのが、まず問題です。そこから方向変換の操作を始めることとなりますが、この位置を誤ると、後で修正がきかなくなります。「適切な位置」は方向変換の作法によっても変わりますが、ここでは私のやり方における最適なポイントを写真付きで解説します。

1号コース左バックの場合、運転席から見て左右の景色が以下のように見える地点です。これにより台車後端がポケットの角のラインから概ね1m少々離れた位置に停まります。

柱の少し手前って感じですね。 これはわかりにくいかも。

2号コース右バックの場合、運転席から見て右左の景色が以下のように見える地点です。これにより台車後端がポケットの角のラインから概ね1m少々離れた位置に停まります。

ちょうど40km/h制限の標示の下端です。 丁度植え込みが切れる部分です。

まず、サイドブレーキを引いてください。シートベルトを外すという理由もありますが、この場所は海側(駅側)に向かって傾斜がついており、サイドブレーキを引かないと後退開始時に予期しない前進や逆行が発生する原因となります。次に、ギアをニュートラルに戻し、シートベルトを外し、窓を開けます。

バックギアに入れ、5点確認及び後窓からの後方直接目視を行った上で、坂道逆発進の要領でサイドブレーキを解除しつつ後退を開始します。予想外にトルクがある場合がありますので注意してください。

方向変換の作法には、大別して次の二つがあります。

(1) 5時で角度をつくり正立に戻し押し込みつつ4時をつくってその角度を維持して押し込む方式。
(2) 4時から5時で角度をつくり、正立で押す手順は経ず、そのまま角度を維持して押し込む方式。


(1)は戸塚などでも採用されている方式です。が、私は敢えて(2)の手順を推奨します。(1)の方式の場合正立に戻して押し込むという手順が余計に発生しており、正直なところ面倒であるためです。(^-^ヾ

後退開始直後、逆ハンドルを2回転きり、そのままの状態で「適切な角度」をつくります。諸説あるところですが私は45度(4時30分)が好みです。実際にどのぐらい曲がっているのか?という点は、経験を積んで慣れるしかありませんが、ヘッドに対する台車の角の位置等を基準に自分なりの目安を見つけるのが早道でしょう。実際にその目安を公開しているホームページもあるようです。ご参考までにどうぞ。

角度ができる頃には、そのまま維持して押し込めばポケットに入っていくような位置にヘッドと台車が存在しているはずです。もしもズレている場合、適宜調整してください。

角度ができたら、一旦停めます。次に、「適切な角度」のまま押し込んでいくため、ハンドルを先ほどとは逆に4回転させます(差引き2回転きっている計算になります)。据え切りとなりますが、気にしないでください。次に、再度5点確認と後方直接目視を行い、後退を再開します。ハンドルを微調整して角度を維持しながら、台車をポケットの中に押し込んでいきます。この際、ボーッと後方だけ見ているのではなく、ポケットとは逆の側方の安全確認も行うようにします。※死角に人が入り込む事例があり、試験官がチェックしています。

ポケットの真上から見た状態を想定し、台車が5時または7時の向きとなる頃を見計らい、今度はヘッドを起こします。これはハンドルをフルにきるだけですから、停まる必要はありません。ヘッドを起こした後は、ヘッドと台車が真っ直ぐになるよう、直線バックの要領で微調整を行います。この際もし途中で停止してしまった場合、傾斜の関係で逆行する可能性がありますので、必要に応じてサイドブレーキを活用してください。

ポケットの中でヘッドと台車が真っ直ぐになっていることを確認します。サイドミラーで見てもわからないことが殆どですので、ヘッドの後窓から台車の連結部を見て、台車の前端とヘッドの車体の各所が平行・垂直かどうかで判断します。確認後、サイドブレーキを引いて試験官に「完了しました」と申告して終了です。

試験官からOKが出たら、5点確認の後、サイドブレーキを解除しつつ発進してください。その際、気を抜いて台車内輪を縁石に引っ掛けないよう十分に注意してください。特にポケットに入れる際に調整を繰り返した場合は無理な位置にあることが多いので、ヘッドを大きく振るなどして慎重に出るようにしてください。


その他の課題


基本的に大型一種を取得済みの方であれば目新しいことはありません。試験車両がシフトチェンジしにくい程度でしょうか。S字や踏切、課題走行(指示速度)等は大型一種と同じ感覚で結構です。

強いて言えば2号コースのK交差点の通過方法ぐらいでしょうか。左の写真をご覧ください。

コースは、写真で言うと手前側にあるLの見通しの悪い交差点から差し掛かることとなります。Kで右折し、直ちに写真の右前方に見える踏切のある道路へ入っていくことになります。

この際、K交差点ではできる限りドーンと進行方向側へ突き出す感じで曲がる必要があります。直後に踏切方向へ左折するための「寄せ」を行うためです。

踏切通過後は右折することになりますが、ここを含め、右折のための寄せを行う場合は台車の右端がセンターラインに掛からないように特に注意してください。二俣川試験場の場合、ヘッドの幅よりも台車の幅が一回り大きくなっています。当たり前ですがセンターラインの上に台車の端が掛かった場合、逆走扱いで試験中止となります。踏切前後でセンターラインを踏むケースが散見されますので、ご注意ください。





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